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究極のカルテット

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聴いてきました。

THE QUARTET featuring Herbie Hancock
 ハービー・ハンコック(pf)
 ウェイン・ショーター(sax)
 ロン・カーター(bs)
 ジャック・ディジョネット(dr)
   会場:パシフィコ横浜国立大ホール

 マイルス・デイビス・クインテットからマイルス(死んじゃった)を抜いて、ドラムを後期VSOPのディジョネットに入れ替えた、モダンジャズの歴史上最強の4人。
(クラシックで言えば、3大テノールみたいなものか)

 すごい演奏だった。
 これがジャズなんだと思った。
 4人が出しゃばらないで音が少ないのにまったく過不足がない。
 余計な音を出さないんですね。

 そればかりか、むしろ、意図的に音を抜く。
「巨匠」といってもいい連中なのに我も我もとソロを取り合ったりしない。
  (この部分、三大テノールとはぜんぜんちがう)
 お互いに、自分が弾かないで、その音を別のだれかに弾かせようとするようなマイナスの駆け引きをする。
「ほうら、君だったらここのすきまにこういう音を入れたいだろう? どう?」
 そんな挑発を続けていく。

 で、時には4人のだれも弾かない。
 たとえば、マイファニーバレンタイン。
 だれもメロディーを弾かない。なのに、聞いているうちにマイファニーバレンタインの曲だとわかる。いろいろアドリブを入れてわざと「……バレンタイン」のメロディーにある音だけ飛ばす。
 そうすると、そのうちに、聞いているこっちの頭の中に「……バレンタイン」のメロディが生まれてくるわけ。聴衆が5人目の脳内演奏者になる。

 つまり「ドレミファ」と、演奏すると、聞いているこっちは次に「ソラ」を予想する。ところが予想だけさせて彼らは実際に「ソラ」の音は出さない。
「ドレミファ」と演奏することで空白で「ソラ」の音を出しているわけ。
(この説明でわかるかなあ)

 そうして巧みにテーマになっているメロディをつくる音をよけて周囲の音だけを出していくと、なんと、きいているこっちの頭に、ちゃんと「マイファニーバレンタイン」のメロディーが生まれてくるんですよ。
 メロディのメス型を演奏する、というか、白地に黒で字を書くかわりに字の部分を白く残して周りを黒く塗ることで、黒地に白で書いたようにメロディが表現されるというか。

 音楽でこんなことできるなんて、思わなかったよ。
 こんな演奏がありうるなんて考えたこともなかった。

 ほんとにスゴイ体験でした。

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