覇権の標的 D列車でいこう 








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2008年11月03日

書く人であることの喜び

 今日は、『告白』(湊かなえ 双葉社)を読みました。

 第一章が小説推理新人賞の受賞作品。
 短編の賞を獲っても単行本デビューに結びつかないのがふつうなのですが、異例中の異例で、受賞作を含む連作短編でデビュー。
 ということで、読みました。
 元々短編であることもあって、濃密でいい小説。

 昨日の東野圭吾が、筋立てで楽しませる小説だとすると、湊かなえはシチュエーションそのものの構築で楽しませる。

 折も折、松尾芭蕉の有名な句の素敵な英訳に出会いました。

  How still it is here--
  Stinging into the stones,
  The locusts' trill.
 (奥の細道 ドナルド・キーン訳 講談社インターナショナル)

 湊さんも、東野さんも、キーンさんも、それぞれすごいです。

 こうして文字で表現しているいいものに出会うと、自分も末席ながらそういう役割の一員であることを、うれしく、また誇りに思います。

 元気がでるし、やる気が出る。
 読書って楽しいな。

2008年11月02日

『流星の絆』(東野圭吾)

 第三稿を仕上げる前の気分転換というかお勉強というか踏ん切りに『流星の絆』(東野圭吾 講談社)を読みました。

 480ページを一日で読むような読み方をしたのは久しぶりだったけど、楽しかった。仕事として読んだのだけどそれでも楽しかった。
 本を読むのは楽しいと思えたことは、うれしい経験でもあった。

 僕の小説は犯人捜しではなくて、どちらかといえば迫り来るピンチと局面打開の物語なのですが、こんどは犯人捜しも書いてみたいと思いました。

 明日、もう一冊、別の人のを読んで、自分の作品にもどろうと思います。

2008年10月23日

『まぼろしハワイ』 よしもとばなな

 『まぼろしハワイ』(よしもとばなな 幻冬舎 1575円)

 ひとことでいうと、
   同じ形では続かない家族
   自然なやわらかい殻で包んでくれる居場所
   特別な時間と特別な場所
 についての小説。

 「まぼろしハワイ」「姉さんと僕」「銀の月の下で」の3作が収められている。

 「銀の月の下で」で登場するホテルはヒルトン・ロイヤル・ワイコロアのようだ。
  会社員だった頃、その近くのコンドミニアムに何度か遊びに行ったっけ。

 よそもとばななの小説を読むのは初めてではないはずだけれど、以前に何を読んだか思い出せない。

2008年09月22日

月刊 Forbes 日本版 11月号

Forbes 日本版 11月号にエッセイを書きました。
185ページの「喜怒哀楽」というコーナーに。

創刊200号記念号だそうで、全体にけっこう面白そう。

目次はこちらです。(携帯ではみられません)

2007年11月29日

『ガイシの女』(汐見薫 講談社)

 汐見薫さんの新作が出ました。
 デビュー作『白い手の残像』(ダイヤモンド社)以来、満を持しての新作です。

『ガイシの女』(汐見薫 講談社 1785円)

 外資系銀行に勤める岩本杏子(34歳)負け犬キャリアウーマンが企業犯罪の犠牲になった兄の死の真相をさぐっていく物語。

 汐見さん自身、東京外語大卒業後、外資系銀行で働いていたので、いわばかつてのホームグラウンドに舞台をもってきての作品ですね。楽しみです。阿川で言えば『覇権の標的』で半導体業界を舞台にしたようなもの。

 実はまだ読んでいません。これから入手予定。

 ご承知のように阿川はいままで(それから多分次も)「仕事のできる女」というのをメインキャラクタにして作品を書いてきているので、もしかしたら、相通じるところがあるかもしれない予感がします。

 前作『白い手の残像』でも気持ちのいい読後感がありましたが、何しろ小説家でしかもミステリー作家のくせに、お酒が飲めなくて、推理作家協会のパーティでも、真っ先にケーキに手を伸ばしてハリウッド系作家の隣でひたすら「ひとりケーキバイキング」をしているような人なので、たぶん、本作もふつうではない形で楽しませてくれるのではないかと期待しています。

2007年11月10日

キャバクラは数学だ!

 本日、出版社から届いた本。

 『現役東大生キャバ嬢のキャバクラは数学だ』(黒咲藍 徳間書店)

 執筆資料本。
 キャバ嬢だと理系で東大は売りになるけど、小説家が理系で東大出ていても売りにならない。
 でも、この本、なんとなく男が書いたような文章。まあ、理科系女とか、女優とかは男性的だから、と思えば普通なのかもしれません。

2007年11月08日

短編小説50枚 詳細別途乞うご期待

 昨日会ったばかりの、某社編集長からメール。
 7月に預けてあった50枚の短編が1月発売の小説誌への掲載が決まったとのこと。
 詳細はしかるべき時期が来てからお知らせします。

 本日届いた本。
   『天使はブルースを唄う』 山崎洋子 毎日新聞社
   『黄金町マリア』 八木澤高明 ミリオン出版
   『白いメリーさん』 中島らも 講談社文庫
 いずれも、いま書いている長編の次、第4作になる予定の長編の資料。

 DHCのサプリメントとか、配達記録の郵便物とか、携帯電話の電池とか、いろいろ配達物が届く日だ。

 深夜、録画してあったドキュメンタリー『中国エイズ孤児の村』(2007アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門受賞作)を見る。これは歌舞伎町小説の資料として中国の田舎の景色や家の中のことを知りたかったためだが、他にもいろいろヒントになった。

2007年08月15日

『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』

『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』(田中森一 幻冬舎)を読んだ。

 東京地検の検事をやめて裏社会の弁護士になったいわゆる「ヤメ検」の自叙伝。
 60年前の貧しかった日本の田舎、バブル時代、検察庁、経済犯罪、そんな小説のネタ満載(?)のノンフィクション。
 こういう本の読者はどういう人たちなのだろう。まさか、みんな小説を書こうと思っているわけじゃないだろうに。(笑) 情報量豊富な良書。

 終戦記念日。昼間、窓の外の温度計は38度を指していた。実社会は気象台の百葉箱よりだいぶ温度が高いようだ。とはいえ、外へは出なかったので、涼しく過ごした。

2007年08月02日

『覇権の標的』は面白い

 新しい長編を書くにあたって、『覇権の標的』をざっと読み直していた。
 というのも、この小説、6年くらいの期間、書いては直し書いては直しを繰り返していて、しかも、最終的にエイヤと削って短くしたりしたので、出版された状態の本に、何がどこまで書いてあったのか、確認する必要がでてきた。
 読者が読むバージョンになるのは最後の最後なので、作者にとってはいちばんつきあいが短いのです。

 次に書く小説が、自分のマネにならないための先行作品のチェック(笑)というわけ。

 流し読みをしていく。
 ところがこれがどこを読んでもけっこう面白いんですな。(自画自賛)
 なので、ついつい読みふけってしまう。それに気づいてあわててパラパラめくりモードにもどしたり。

 というわけで、まだお読みでない方、『覇権の標的』(ダイヤモンド社)をぜひどうぞ。

2007年07月28日

『しまうたGTS』(山田あかね)

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『しまうたGTS(ゴーイング・トゥ・サウス)』
 山田あかね[著] 小学館[刊] 1500円+税


 山田あかねの3作目、読了。
 (自分が執筆に集中できないときはいさぎよく読書に切り替えるのだ)

 主人公はデビューし損ねたミュージシャンで、脳腫瘍で残りの命が少ないと知った20才の男。
 かつてのバンド仲間・城司と自分の恋人・ナナナがふたりで沖縄にいるらしいということで、手術前日に病院からエスケープして追いかけて探そうとするうちに奇妙な男と奇妙な女といっしょになって3人で波照間島まで行く、という物語。

 女性が主人公でどちらかというと内面的な描写が中心の前2作とちがって、舞台が広くなってミステリー仕立て、という、一見、「山田あかねの新境地!」と帯に書きたくなるところだけど、どっこいやっぱり山田あかね。

 山田あかねの魅力は、登場人物の迷いとか(世間から見た)一貫性からのゆらぎとかを細かいところで丁寧に描いていることだと思う。
 人間は、こういう人がよい人(あるいはカッッコイイヤツ)である、なんて「期待される人間像」を自分でも意識していながら、本当の自分がそれと同じではないということも知っている。だから、ときにその人間像から逃げ出したかったり、いや、なんとか「こうありたい自分」を演じようとしたり、しながら生きていく。そこでの葛藤は、多くの小説の永遠のテーマだし、山田あかねの小説はいわば小説の王道をいつもまっすぐに追いかけている。
 媒体としてのストーリーはいろいろでも、つねに、そういう心の動きを丁寧に描いている。

 いちおう日本推理作家協会会員である僕としては、ミステリー仕立てに引っ張っている謎の提示のしかたにもう一工夫欲しいと思ってしまったりはするのだけど、別にそんな欠点は、この小説にとってさほど重要なことではなく、小説らしく小説を楽しめるよい作品だと思う。

 それぞれに何かを抱えながら、でも、あるいは、だからこそ、自分に正直に生きてみよう、と、少なくとも小説を読んでいる間は思っていたい、そんな人におすすめ。

2007年07月13日

「本の雑誌」 2007上半期ベスト1

「本の雑誌」8月号の特集「2007上半期ベスト1」において、阿川大樹の『D列車でいこう』が エンターテインメント・ベスト10 にランキングされました。

2007年07月12日

本日届いた本

 夜の来訪者 プリーストリー・作 安藤貞雄・訳 岩波文庫 560円

 変わる商店街 中沢孝夫・著 岩波新書 700円

 地域再生の経済学 神野直彦・著 中公新書 680円

 まちづくりの実践 田村明・著 岩波新書 700円

 日本「地下経済」白書 門倉貴史・著 祥伝社黄金文庫 571円

「夜のオンナ」はいくら稼ぐか? 門倉貴史・著 角川oneテーマ文庫 686円

  以上、値段は本体価格。

2007年06月25日

週刊ブックレビュー

 24日朝の放送は出かけていて見ることができなかったので、帰宅後、深夜の再放送で見た。
 著者近影(笑)と経歴がしばらく映し出されたのは、とってもこそばゆいぞ。

 内容は、司会・藤沢周(作家)、中江有里(女優・脚本家)の2人と伊佐山ひろ子 (女優)、逢坂剛 (作家)、吉田伸子 (書評家)の5人が『D列車でいこう』をよってたかって批評、というか誉めてくれる番組になっておりました。
 ちょっとネタバレもあったけど。(特に逢坂剛さん)
 逢坂剛さんが、小さな不満を口にしたとき、拙著を「おすすめの1冊」に選んでくれた吉田伸子さんが、「そこがいいんじゃないですか」といって反論してくれて、その瞬間に中江有里さんがうんうんとうなずく瞬間をカメラがしっかり切り取っていて、それが番組としてのハイライトシーンかな。
「吉田さんは、面白い本を見つけてくる天才ですね」という逢坂剛さんの開口一番がなかなかいいキャッチコピーになってました。

 朝の放送から不在の間、複数の人が amazon の売上順位をウォッチしてくれていて、それをまとめてエクセルの表に入力して、「週刊ブックレビューによる amazon の反応」という資料ができたので、編集者にメールで送っておく。
 僕はベースが理科系なので、こういうデータを見るのが大好き。
 最高位は25日午前0時20分ごろに記録した63位のようです。

「レイモンド・チャンドラー+村上春樹」という超強力コンビと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていたようすが、数字としてすごく面白かった。
 いや、チャンドラーといえば、ハードボイルドの金字塔のような作家だし、村上春樹といえば「村上チルドレン」と呼ばれる一群の作家まで産み出した日本文学界の寵児だし、一時的にせよ、そういう作家の本と売上順位で並ぶなんてのは、デビュー2作目のかけだし作家としては、すごいことであります。(まあ、時間と共に水を空けられることは目に見えてはいるけどさ)

 NHK「週刊ブックレビュー」のサイトは こちら

2007年05月23日

なぜジュンク堂で売れるのか

 池袋へ。
 というのも『D列車でいこう』の販売POSデータで池袋ジュンク堂が目立って売れ行きがいい。(て、たいしたこたあないんだが)
 池袋はなぜか他の書店も割といい。こういう風に数字に何かが出ると、がぜん理科系心が刺激されて、その原因を調べたくなるのだ。今後の販売拡張のヒントがそこにあるかもしれないし。
 というわけで、夕方、家を出て池袋へ。
 さっそくジュンク堂へ行くと、まず、1階レジ前の新刊の棚に3冊並べて入っている。つぎに3階文芸書の新刊コーナーに面出しで、そしてミステリーの著者50音順の棚に2冊並べて、と、3箇所で売られている。単純に売り場面積の問題なのか。
 ジュンク堂という書店、レジはレジで大きな病院の会計カウンターみたいにずらりと並んだところにひっきりなしに客が来ている。なんでもそろう品揃えが魅力なのだけど、しかし、ジュンク堂の店員さんは、よく動いて売り場を見ている。大きいだけでなく、本を売ることに対する情熱のちがいを感じる。
 池袋駅に戻る途中、吉野家で牛丼を食べて新宿へ。
 紀伊國屋本店では、経済小説の棚に平積。
 でも、ここの経済小説の棚は棚自体ブラインドになっていて場所が悪いんだよなあ。本当は「エンターテインメント」に置いてもらう方が売れると思うんだけど。
 ジュンク堂も紀伊國屋も、夕方の混雑時間帯だったので、店員さんに挨拶するのは遠慮しておく。書店員は売るのが仕事だからその本番中に著者がじゃまするのはマズイと思うのだ。
 あとは、ゴールデン街のなじみの店に2軒ほど立ち寄って飲んだり喋ったり。
 ただいまのところ、ゴールデン街に1軒だけ『D列車でいこう』のポスターが貼ってある店があります。さあ、どなたか探してみませんか?(笑)

 終電少し前に帰宅。

2007年05月21日

コザのミュージシャンと池波志乃

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 事務的なことがあって集中できないので、池波志乃さんのエッセイ集「食物のある風景」(徳間書店)を読んでいた。
 打合せの時に編集者からこの本の話を聞いていて、あとから送ってもらったものだ。
 ところがなんでこの本を送ってくれたか、という理由を忘れてしまっていて、それで、たまたまなんとなく書棚から手にとって今日になって読んだわけだ。

 志乃さんが育った下町の食文化の話ではじまっている上品なエッセイを静かに読んでいるうちに、志乃さんがいま半分は沖縄に住んでいるということがわかってきて、「ああそうだ、沖縄が舞台の小説を書いている」とTさんに話をしたので池波志乃さんの話になったのだと思い出してきた。
 で、途中、志乃さんが女優をやめていまは社長になっているという話が出てきて、なんとそれは沖縄のミュージシャンを売り出すためだということで、それでもって、そのミュージシャンとはB-Tripperだということがわかった。

 そのバンドのボーカル&ギタリストが武川勝太というのだけど、僕は彼がコザでやっていたバーに行ったことがあったし、前回、コザにいったときにも2回、彼の演奏を聴いたのだった。
 バーをやめたのは本土で音楽の仕事をするようになったからだと聞いていて、なんと、それが池波志乃さんの仕業だったということなのか。

 コザのミュージシャンの世界はとっても横のつながりが強くて、狭い世界といえば狭い世界ではあるのだけど、それにしても、徳間書店を経由して、こういう風につながるとは思ってもいなかった。

 で、その沖縄が舞台の僕の小説だけど、また版元都合で延びて来年4月以降の発売になってしまった。 これに取りかかるつもりで、他の仕事の営業していなかったので、年内に少なくとももう1冊出したいという予定が急にピンチになってしまった。

2006年09月30日

今週のアメリカウォッチング

"State of Denial, Bob Woodward"
 注文しました。
 僕が買うまでランキングが「なし」だったので、日本のアマゾンで最初に注文した人になったみたい。(だからなんなんだ)

 "Bush at War" , "Plan of Atack" につづく、ワシントンポストの記者 Bob Woodward の第三部です。 (ウォーターゲート事件のスクープでピューリッツァー賞を獲っている人)

 でも、いつ読むんだ。
 読まないうちにペーペーバックがでちゃうような気がする。

 ヒラリー・クリントンの自伝 "Living HIstory" もハードカバーで買ったんだけどねえ。
 映画 "United 93" の原作の元になった本だとおもう "Let's Roll!" もハードカバーで買ったんだけど、よまないうちに映画までできちゃった。アメリカでは DVD も出ている。

2006年05月02日

「みんなの意見」は案外正しい

本日、amazon から届いた本。これも執筆資料です。

「みんなの意見」は案外正しい
  ジェームズ・スロウィッキー(著)
  小高尚子(訳)
  角川書店 1600円

ブルー・オーシャン戦略
  W・チャン・キム レネ・モボルニュ (著)
  有賀裕子 (訳)
  ランダムハウス講談社 1900円

2006年04月29日

今日、届いた本

執筆資料

"Six Degrees"
The Sience Of A Connected Age
Duncan J. Watts
W W Norton & Co

 地球上のあらゆる人があいだに6人を隔ててつながっているという、いわゆる「Small World 理論」の原典。

「ロングテールの法則」
菅谷義博
東洋経済新報社

 売れないもののたくさんの集まりが売れるものを凌駕する、というインターネット時代の考え方。